大根役者を読み解く

吐く息も白い、凛とした冬の朝
大根をコトコト火にかける
冬は静かで白い季節
曇りはじめた窓ごしに
しんしんと雪が舞う

玄人に対して素人(しろうと)
大根の真っ白い姿をかけて
「大根役者」という言葉が
生まれたんだとか…
煮ても、焼いても、おろしても
いい仕事をしてくれる大根は
むしろ千両役者なのにね

ゆっくりと部屋の空気が
温もりを帯びてきて
そろそろ味もしみ込むころ

鍋のフタをあけると再び
真っ白い湯気に包まれた

〜〜2014.12「フィッテ」「つむぎやの野菜ごよみ」エッセイより〜〜