調味料について思ふこと

昔、レストランのシェフに調味料について取材させていただいたことがある。
サラダにはこの塩、マリネにはこの塩、肉の漬け込みにはこのお塩、そんな風に料理の特製によって、お塩の個性を使い分けていくシェフのお話が、とても刺激的でした。

また一方、お料理教室に通わせていただいた「銀座藤田」の大将は「うちは調味料特別なもの使っていません」ってなスタンス。塩、醤油、みりん、酒、それぞれよいものだけど、すごい高級というわけでもない。
あと数種類、調味料はあったと思うが、ほとんどこの基本調味料とお出汁の組み合わせを駆使して、刺身醤油を作り、ポン酢を作り、土佐酢を作り、吸い地を作り…といった具合に手作りの調味料に展開していく。その展開された調味料から、数々の美味しい料理が生み出されていく。
その和食のシンプルな感じ、展開の仕方は今でもすごく好き。どっちの考え方ももちろん正解。

で、ちょっと家庭レベルの話をしてみる。
最近調味料を作っている生産者の方たちのお話を聞く機会がたくさんあって、みなさんの真摯なもの作りに取り組む姿勢にも共感することも多い。何よりその調味料が美味しいし、そしてそういったものを使うことで育まれるコトってやつが、家庭の中にはあって、やっぱりよいものを選びましょう&使いましょう、となる。

そんで、またちょっと別の角度から話をすると、あるとき(5年ぐらいも前かな〜)、売れっ子男性編集者のYさんと話している時のこと
「もう自分の料理は全部ウェイパーの味になってしまうねん(笑)」
ってな話をされていて、自分も一人暮らしから料理を始めたので、そのエピソードは、わかるーってすごく共感。

料理を憶えていく過程で、調味料をひとつひとつ開拓していく。その過程で「キラー調味料」的なものに出会うことがある。それまでの自分の料理に「キラー調味料」をプラスすると、もうとにかくすべてレベルアップしちゃう(したように感じる)。んでもって、ブームが去るまで、かなりヘビーローテーションされることとなるわけ。

Yさんにおけるウェイパーもそうだと思うし、カレーにおけるガラムマサラなんてのもそう。ナンプラー、塩麹、よっちゃんなんばん、あけがらし、生七味、五香粉…… そういうものとの出会いで、広がる料理の味というのも確実にあって、これもまた料理の楽しみなわけですよ。

ひとえに調味料といっても、これだけたくさんの正解があるわけで、それはつまり料理に対してのアプローチも、たくさんの正解があるっていうことを教えてくれている。
長くなってきたので今日はこのへんで…

〜〜2014.10マツーラfacebookをちょっとだけアレンジ〜〜